【小学校受験】願書作成に必要な学校分析のやり方とポイントをプロが解説
こんにちは、小学校受験の現役講師兼コーチのかける先生です。
今回は、願書作成するうえで必ず取り組むべき「学校分析」のやり方やポイントについて細かく解説します。
今年受験を迎えられるご家庭の中には、すでに志望校や併願校の説明会にご参加されたり、在校生や卒業生とつながったりなどして、情報収集をされている方も多いと思います。
受験する学校についての情報を一通り集めたら、必ず行ってほしいことがあります。
それは、「学校分析」です。
学校分析は、受験対策するうえでももちろん大切ですが、それよりも願書作成や面接対策をする際に必要不可欠なプロセスになります。
また、学校分析をする過程で、不足している情報や再度リサーチが必要な情報を知ることもできます。
そこで今回は、小学校受験でご縁をいただくために必ず取り組むべき学校分析の方法やポイントについて、小学校受験コーチ兼現役講師の私が詳しく解説していきます。
学校分析は、願書の下書きを書き始める前に必ずやった方が良いことです。
そのため、これから下書きを書き始めようと思っている方、願書作成をするうえで何から始めたいいかわからない方は参考にしてくださいね!
小学校受験をするなら、学校分析やそれに伴う情報収集は“徹底的に”行いましょう。
受験されるご家庭の中には、学校のHPやパンフレットをさらっと見ただけで学校分析したつもりになっている方がいますが、そのようなご家庭は願書や面接で簡単に見透かされてしまいます。
そうならないためにも、まずは以下の情報源にできるだけ多く当たってください。
・学校の公式HP
・パンフレット
※中高一貫校や大学が附属している場合、そのHPやパンフレットにも目を通しましょう。
・校長先生や志望校に在籍する先生のインタビューページ
・志望校や校長先生の著書
・学校説明会やその他のイベント
(見学会や体験授業、体育祭・文化祭など)
・個別相談会
・過去問(最低3〜5年度分)
・在校生や卒業生
↪︎コネクション駆使しして、在校生の保護者や学校関係者と繋がりましょう。
特に、第1志望校に関してはこれらの全てを網羅することが理想です。
そのため、幼児教室や知り合いなど、ありとあらゆる人脈を活用するようにしましょう。
小学校受験において「学校分析の深さ=学校に対する理解度の深さ」と言われています。
また、学校に対する理解度の深さは、願書の質に直結します。
ですので、願書の下書きを作成する前に、必ず学校分析を行うようにしましょう。
次に、学校分析する際にどんなことを調べたらよいのかについて、詳しく解説しますね!
学校分析する際、
「どんなことを調べたらいいんだろう」
「学校分析を通してどんな情報を掴めばいいんだろう」
などの疑問を持っている方も多いと思います。
たしかに、初めて小学校受験をされる方は、学校分析を通してどんなことを調べたらいいのかイメージがつきませんよね。
そのような方に向けて、以下では学校分析を通して必ず調べた方が良い3つのポイントをご紹介します。
以下でご紹介するポイントをしっかり調べることで、志望校に対する理解度が一段と深まります。
そのため、骨の折れる作業ではありませんが、良い願書を書くため、そして、ご縁をいただくためにもきちんと行いましょう!
1つ目は、その学校の歴史的変遷です。
志望校が今の姿になるまで、どのような変化を遂げてきたか、歴史を遡って理解するようにしましょう。
これは、「学校のHPに記載されてある”沿革”を暗記してください」ということではありません。
まずは、その学校の創立者がどんな人物なのか、当時の時代背景を踏まえて、どのような理由でその学校を創立したのかについて調べてみましょう。
創立者によっては、関連書籍などがあるケースも多いので、創立者の名前を検索にかけてみて、ヒットしたら、必ず目を通しておきましょう。
なぜなら、創立者の著書に目を通すことで、その人の考えや思いを正しく知ることができるからです。
ここでは慶應義塾幼稚舎を例に挙げて説明します。
まず慶應義塾幼稚舎では、創立者である福澤諭吉の著書『福翁自伝』が願書の課題図書とされています。
この福翁自伝は、福沢諭吉の生涯をまとめたもので、当時の時代背景やどのような経緯で慶應義塾を創立したのかが詳しく書かれています。
そのため、慶應義塾幼稚舎への理解を深めるためにも入学希望者が必ず読むべき一冊となっています。
(学校側も「創立者である福澤諭吉の考えを理解し、それに共感してくれる保護者に入学してほしいという思い」から『福翁自伝』を課題図書にしています。)
また、課題図書ではありませんが、『福翁自伝』とセットで『学問のすすめ』にも目を通すことをおすすめします。
なぜなら、『学問のすすめ』を読むことで、福澤諭吉や慶應義塾幼稚舎への理解をさらに深めることができるからです。
ご存知の方も多いと思いますが、福澤諭吉は「学問のすすめ」の中で
「天は人の上に人を造らず」
という言葉を残しております。
この一文を、「福沢諭吉が平等をうたった言葉」と解釈している人も少なくありません。
ですが、そのあとに続く言葉を読めば、これは間違った解釈だということがわかります。
されども、今廣く此人間世界を見渡すに、
かしこき人ありおろかなる人あり貧しきもあり冨めるもあり貴人もあり下人もありて
其有様雲と坭との相違あるに似たるは何ぞや
この言葉を簡単に現代語訳すると、
「しかし、実際は賢い人と愚かな人、貧しい人と富んだ人、身分の高い人と低い人がいて、雲泥の差がついているのはなぜだろうか」
という意味になります。
そして、その差は、「学問を学ぶかどうか」にあると福沢諭吉は主張しています。
つまり、「天は人の上に人を造らず」という言葉は、”平等”ではなく、「(人は生まれによる身分の上下はないが)学ぶ人と学ばない人の間には大きな差が生じるため、勉強して自分を磨くことが必要である」という点を強調していると言えます。
このように創立者の著書を読むことで、一般的に誤解されていたり、知られていない思想や考えを知ることができます。
また、当時の歴史的背景を踏まえながら、その学校の沿革を追うことで、さらに理解を深めることもできます。
そして、そこで得た知識や情報は、願書や面接の際にも必ず役立ちます。
歴史的視点で分析するためには、今回のように学校関連の著書などを読む必要があるため、時間がかかります。
そのため、早め早めに取り組み始めることをおすすめします。
2つ目は、その学校が求めている生徒像です。
学校分析する際は、その学校が求めている生徒像を分析することも忘れないでください。
特に、説明会での校長先生のお話や過去問を分析することで、その学校が求める「生徒像」を知ることができます。
例えば、某有名私立小学校では、過去に「給食着を着て脱ぐ」というような課題が出されました。
後々わかったのですが、その学校の校長先生は「去年入学した生徒の中に、給食着の着脱がスムーズにできない子が多かったから、このような課題を出した」とおっしゃっていました。
また、学校が求める生徒像を知るときは、志望校の校長先生のインタビュー記事もチェックしてみましょう。
探し方は簡単で、校長先生の名前や「◯◯◯◯(校長先生のお名前) インタビュー」などと検索すると何件かヒットすることが多いです。
このようなインタビュー記事には「どんな子どもに来てほしいか」「どんな能力を身につけることが大事か」 などのヒントが隠されていることが多いです。
例えば、世田谷区の私立小の中でも特に高い人気を誇る東京農業大学稲花小学校の夏秋啓子先生のインタビュー記事を検索すると、以下のページがヒットします。
こちらの記事の内容を読んでみると、まず夏秋先生が食べ物にかかわる農学に興味を持っており、農作物を菌類やウイルスなどの病原微生物・病原体から守る「植物病理学」の研究を力を入れたきたことがわかります。
このような情報や稲花小の理念などから総合的に考えると、稲花では「身近な問題に意識を向けられる子」「探究心があり、自発的に学びを深められる子」が求められていると考えられます。
また、夏秋先生は元々研究者であるため、「1人でできることの限界」を知っており、人と協力することの重要性を強く感じているはずです。
それを踏まえると、「コミュニケーション能力」や「社会性」も重要視していると考えられます。
加えて、願書のエピソードで、「家庭菜園や稲作など食に関するネタ」、または「自然科学系に関するネタ」を盛り込むと、面接で興味を持って深掘りしてくれる可能性が高いでしょう。
このように校長先生のインタビュー記事を読むだけで、どんな子が求められているか、どんな話題に興味を持ってくれる可能性が高いかを分析することができるので、ぜひ調べてみてくださいね!
また、過去問からもその学校が求める生徒像のヒントを得ることができます。
例えば、数や図形に関する問題を多く出題している学校であれば、思考力や論理力など“考える力がある子ども”を求めているといえます。
口頭試問や言語に関する問題を多く出題している学校なら、“自分の言葉できちんと表現できる子ども”を求めている可能性が高いと考えられます。
このように、過去問には、その学校が求めている生徒像のヒントがたくさん隠されています。
その他にも、校舎内の掲示物や在校生の様子から、その学校が求める生徒像を知ることもできます。
学校が求める生徒像のヒントはいろいろなところに埋れているので、なるべく多くの情報源にあたって総合的に分析することが大切です。
そうすることで、願書も自然に書きやすくなります。
3つ目は、「なぜ、その学校でなければならないのか」です。
学校分析する際は、「その学校でなければならない理由」を何度も自問自答して深く分析してください。
例えば、「世界で活躍できる大人になってほしいから、国際教育に力を入れているA校に入学させたい」というのが現在の志望理由だとします。
ただ、それをそのまま面接で伝えると、「国際教育に力を入れている学校は他にもありますが、なぜ我が校なのですか」と先生方に突っ込まれてしまいます。
そのため、この場合は、「なぜA校の国際教育が良いと思うのか」「A校の国際教育は、他校の国際教育とどんな点で異なるのか」を自分に問いかけてみましょう。
この自問に対してスムーズに自答できるのであれば、よく学校分析できている証拠です。
一方で言葉に詰まってしまったたら、学校分析がまだまだ不十分なので、その学校が行っている国際教育のカリキュラムやプログラムの具体的な内容を調べる必要があります。
このように自問自答を繰り返すことで、志望理由がより明確になります。
ちなみに、最初にご紹介した「世界で活躍できる大人になってほしいから、国際教育に力を入れているA校に入学させたい」などのような浅い理由で願書を書くと、他のご家庭の願書と同じような内容になるため、先生方の印象にも残りません。
そうすると、当然ご縁をいただける可能性も低くなるでしょう。
そのため、志望校を分析したり、志望理由を考える際は、同じような教育方針やカリキュラムを掲げている学校との違いを意識して考えましょう。
そして、「なぜその学校でなければならないのか」を何度も何度も自問自答し、その理由を明確にするようにしてくださいね。
今回は、小学校受験でご縁をいただくために必ず取り組むべき学校分析の方法やポイントについて、詳しく解説してきました。
学校分析は、願書の下書きを書き始めるに必ずやるべきことのひとつです。
学校分析が不十分な状態で、願書を書こうとすると内容の浅い内容になってしまい、志望校への熱意を伝えることができません。
また、「学校分析をわざわざしなくても十分知っている」と慢心している方ほど、その学校の表面しか見ていないいないケースが多いです。
そのため、学校分析ができていない方は、今回解説した内容を参考にして、必ず取り組むようにしましょう。
また、学校分析の他に、願書の下書きを書き始める前にやるべきことがもう一つあります。
それは、「自己分析」です。
ここでの自己分析とは、ご家庭の教育方針の明確化やお子さんの特徴(長所・短所など)の分析を意味します。
この具体的なやり方に関しては以下の記事で詳しく解説しているので、こちらも必ずチェックしてくださいね!
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