小学校受験に親の学歴は影響する?過去のケースを踏まえて実情を解説


こんにちは、小学校受験の現役講師兼コーチのかける先生です。
今回は親の学歴が小学校受験に与える影響について詳しく解説していきますね!
今回は、小学校受験のご縁に親の学歴がどれくらい影響するかというテーマで解説していきたいと思います。
私自身、毎月多くの個別面談を行っていますが、その中で、親御さんがご自身の学歴を気にされているケースは結構多いです。
特に伝統校と言われるような学校を受ける場合に、「高校卒業なんですけど…」とか、「専門卒なんですけど、大丈夫ですか?」みたいな感じで、ご質問をいただくことがあります。
小学校受験は“親の受験”とも言われますから、当然、親御さんの学歴や職業(勤務先)を気にされるお気持ちはすごくよくわかります。
本題に入ますが、「親の学歴」が小学校受験に影響するかどうかを考えるときは、どの視点で、どのように捉えるかによって結論は変わってきます。
そこで今回は、小学校受験をするうえで知っておいてほしい「親の学歴の影響」について、私のこれまでのサポート経験や実際にご縁をいただいたご家庭のケースを踏まえて、詳しく解説していきたいと思います。

このページは約10,000字超とかなりボリューミーな内容になっているので、何度も読み返せるように必ずブックマークをしておきましょう!
まず結論からお伝えすると、親の学歴は「影響する場合」と「そうでない場合」があります。
お教室の先生や小学校受験関係者の中には「親の学歴は全く関係ありません」と言い切る先生方もいらっしゃれば、逆に「親の学歴がこうなら、この学校の方がいいと思います」とおっしゃる先生もいます。
でも実際はそういった白黒つけられる話ではなくて、親の学歴が多少なりとも影響を与える場合もあれば、ほとんど関係ない場合もある──これが僕なりの見解です。

ただ、親の学歴が影響を与える場合でも、それだけで合否が決まるわけではありません。
親の学歴が影響を与えるケースとそうでないケースについて説明する前に、まず大前提として小学校受験で一番重視されるのは「子どもの実力」であることを強調してお伝えしておきます。
でなければ、ペーパーテストに加えて、行動観察や運動テスト、絵画制作など多角的な試験を実施する理由がないんですよね。
このような多様な考査を通して子どもたちを評価しているということは、「子どもの実力や性質を総合的に判断している」という証拠とも言えます。
そのため、「中卒・高卒だから」「専門学校卒だから」「あまり有名でない大学や短大を出ているから」といった理由で弾かれることは基本的にはありません。
逆に言えば、どれだけ親御さんが優れた学歴を持っていようと、有名企業に勤めていようと、つながり(縁故)があろうと、「子どもの実力」が伴っていなければご縁をいただくことは難しいということです。
つまり、「子どもの実力」が学校側が設ける合格のボーダーラインを超えた後で、ようやく親の要素が影響を与える可能性が出てくる、ということです。
ですので、繰り返しになりますが、親の学歴だけで弾かれることはないので、その点についてはご安心いただけたらと思います。

実際、ご夫婦ともに高卒だったり、ご主人が中卒だったり、また有名大学出身ではない親御さんでも、難関校や伝統校にご縁をいただいているケースはあります。
ここまでを踏まえた上で「じゃあ親の学歴ってどういう時に影響するの?」というのが、皆さんが一番気になっているポイントだと思います。
親の学歴が最も大きく影響するケースとして挙げられるのが、「その親御さん自身が、受験する小学校の出身者である場合」ですね。
つまり、ご自身がその学校の卒業生である場合は小学校受験において有利に働く可能性が高いということです。
これが、小学校受験においてよく耳にする「縁故」とか「コネ」の一番典型的な例だと思います。
ただ、ここで注意していただきたいのが「あくまでその小学校、または附属の幼稚園からの出身者でなければならない」という点です。
こちらを読んでくださっている方の中には「志望する小学校の卒業生ではないけど、その付属中学や高校、あるいは大学の出身である」という方もいらっしゃると思います。
その場合、志望校にまったく縁もゆかりもないご家庭に比べれば多少は有利に働く可能性があるものの、学歴による影響はほとんどないことが多いです。
例えば、縁故の影響が大きいと言われている慶應義塾幼稚舎の場合、幼稚舎出身の方は、確かに有利に働く可能性があります。
ですが、中等部や高等部、あるいは慶應義塾大学からの出身者は、受験するご家庭の中に数多くいらっしゃるので、その場合「親の学歴が影響する」ということはほとんどありません。
つまり、親の学歴の影響を考えるときは、「その小学校の卒業生かどうか」または、「附属幼稚園からの出身者かどうか」という点が非常に重要だということです、
このような、いわゆる“縁故”と呼ばれるようなケースの場合に限っては、親の学歴が有利に働く可能性があります。
また、特にこういった傾向が見られる学校としては、先に挙げた慶應幼稚舎のほかに、キリスト教系の難関女子校や歴史のある伝統校などが挙げられます。
一方で、まだ開校してから日が浅い新設校の場合は、親の学歴はほとんど関係ありません。
以上のことを整理すると、「親の学歴が小学校受験に影響を与える可能性がある」ケースというのは、基本的に親御さんがその小学校の卒業生である場合だということです。
ただ、ここで注意していただきたいのが、たとえご両親のどちらかがその小学校の卒業生だったとしても「全然ご縁をいただけていないケース」は数多く存在するということです。
先ほどもお伝えしたように、小学校受験では、まず第一に「子どもの実力」がボーダーラインを超えているかどうかが最も重要な基準になります。
その上で、たとえば、その学校にまったく縁のないご家庭と、親御さんが卒業生であるご家庭とが同じくらいの点数だったとき、「卒業生であるご家庭の方が優先されやすい」というようなイメージです。
ですので、そういった意味では、親の学歴が重要になるケースもある、ということですね。
ただ、先ほどもお伝えしたとおり、学校側が設けている合格基準をはるかに超えるような「子どもの実力」がしっかりあれば、親の学歴というのは基本的に関係ありません。
ですので、「ボーダーラインに並んだご家庭が複数あったとき、判断材料のひとつとして親の学歴が影響する可能性がある」というくらいに、覚えておいていただけるとよいと思います。
ちなみに、「小学校受験、特に私立小の中でも“伝統校”と呼ばれるような学校において、なぜ卒業生であることが有利に働くのか」について疑問に思っている方も多いと思うので簡単に説明しますね。
伝統校というのは、その学校の“校風”や“文化”というものをしっかりと継承してきた歴史があり、今後もそうしていかなければならない使命を持っています。
そして、その伝統を継承していくには、卒業生の子どもを新たに迎え入れることが一番理にかなっているんですね。
ですので、歴史ある伝統校では、卒業生が結果的に有利だと言われています。
ただ、どんな伝統校であっても、「定期的に新しい風を入れる」必要があります。
でなければ、その学校は“旧態依然”とした体質になってしまい、だんだんと人気もなくなります。
そうなってしまうと、当然、学校運営も厳しくなっていきますよね。
ですから、そうならないためにも、しっかりと実力のある優秀なお子さんを評価して、入学してもらいたいという意思を学校側は持っています。
そういった意味でも、親の学歴だけで判断されるわけではありません。

小学校受験の縁故については以下の記事で詳しく解説しているので、こちらもあわせてチェックしてみてくださいね。

ここまでは「親の学歴が直接的に与える影響」について解説してきましたが、私個人の意見としては、「親の学歴が小学校受験において間接的に与える影響の方がむしろ大きい」と思っています。
では、具体的に小学校受験のどのような場面で親の学歴が反映されやすいのかについて、以下で詳しく解説していきたいと思います。

親の学歴が小学校受験に間接的に与える影響は、大きく分けて3つあると私は考えています。
1つ目は、「子どもの学力」です。
これはよく言われていることなんですけども、実際のデータとして「親の学歴が高いほど、子どもの学力も高くなる傾向がある」と出ています。
こちらの研究によると、両親の学歴と子供の学力(2021 年度の全国学力・学習状況調査)には強い相関関係があることがわかります。
さらに、両親が共に非大卒の家庭と大卒の家庭では、各教科の偏差値は約7ポイントの差が生じていることも報告されています。
また、これはあくまで私の個人的な印象ですが、高学歴の親御さんは子どもの教育への意識も高い傾向があるため、乳児期の段階から知育教室に通わせたり、普段関わり方・声かけなどを工夫している方も多いです。
それに加えて、遺伝的な要素というのもありますので、そういった意味でも、親の学歴というのは「子どもの学力や能力に一定の影響を与える可能性が高い」と言えると思います。
小学校受験では、ペーパーテストを実施する学校がほとんどなので、そのような学校を受験する場合、親の学歴が間接的に与える影響は多かれ少なかれあると思います。

ですが、近年の小学校受験ではペーパー以上に行動観察や絵画製作なども重視されつつあります。
また、ペーパーに関してもきちんと対策すれば十分対応可能なので、立派な学歴がなくてもそれほど気にする必要はありません。
2つ目は、「願書における文章力や表現力」です。
小学校受験では、必ず「願書」を提出しなければいけません。
その願書には主に、「志望理由」や「お子様の性格・特徴」、「ご家庭の教育方針」などについて記載する必要があります。
このとき重要になるのが文章力や表現力です。
そして、難関大学の合格を勝ち取ってきた高学歴の親御さんは、受験勉強を通じて多種多様な文章を読み込んだり、小論文を書いたりしてきた中で、豊かな語彙力や表現力を身につけてきていることが多いです。
また、大学在学中に論文をしっかりと書いてきた経験がある人は、自然と文章表現の基礎が身についています。
そういった意味で、この「親の学歴」というのは、願書における文章力や表現力に、間接的ではありますが、一定の影響を与えているのではないかと個人的には推察しています。
ただ、この点に関しては、「文章を書くのが苦手」という場合でも、願書の書き方をゼロから学んだり、プロの願書添削をきちんと受けることで、十分に改善することは可能なので、ご安心ください。

小学校受験の願書の基本的な書き方については、以下の記事で詳しく解説しているので、こちらもあわせてチェックしてみてくださいね。

3つ目が、「面接における語彙力、言葉遣い、そして振る舞い方」といった部分ですね。
たとえば、さきほど例に挙げたような「難関女子校」において「卒業生が有利」と言われている理由のひとつとして、その学校の伝統や文化が保護者の価値観や振生活の中に自然と根づいている、という点があります。
加えて、幼少期をそういった学校で過ごしてきた親御さんは、子ども時代からしっかりと礼儀作法や言葉遣いなどを学んでいる分、品のある振る舞いを自然とできます。
小学校受験の面接では、受け答えの内容だけでなく、そのご家庭が纏う雰囲気や些細なさりげない所作もチェックされているため、そのような振る舞いができると、面接でも良い印象を与えやすいです。
また、こうした“育ちの部分”や“品の良さ”は、大人になってから「受験があるから短期間で改善しよう」と思って一朝一夕身につけられるようなものではないんですよね。
ですので、そういった意味で、親御さんの学歴が小学校受験に間接的に影響を与える可能性はあると私は考えています。
もし今まで礼儀作法や所作をしっかりと学ぶ機会がなかった場合は、基本的なマナーについて解説している本などもあるため、それを読み実践することから始めると良いと思います。
特に言葉遣いに関しては普段から意識して直さないと、面接で緊張してしまったときに思わず口から出てしまうこともあるので注意してくださいね。
ただ、面接も願書と同様に、模擬面接を通してアドバイスを受けたり、しっかりと練習を重ねることで対策することができます。

ここまで、親の学歴が小学校受験に間接的に与える影響について解説してきました。
大切なのは、そういった「親の学歴が間接的に影響を及ぼすかもしれない部分」を、親御さんご自身が冷静に見極めること、そして、それが“弱み”にならないように、きちんと時間をかけて準備していくことです。
願書添削の際に、
「小学校受験の願書に親の学歴を書くべきですか」
というご質問もよくいただきます。
最近では、個人情報保護の観点などから、出身校の記入欄自体が消えている学校も増えてきています。
ただ、実際は「備考欄」や「自由記入欄」といったような形で、親御さんの名前の後に何行かスペースがあり、そこに学歴を積極的に書かれるご家庭が多いです。
これらの欄には、主に「学歴」と「勤務先」を記入するのが一般的とされています。
では、本題の学歴は書いた方がいいのかというテーマに関してですが、これはケースバイケースです。
まず「学歴を書いた方がいいケース」としては、さきほどお話ししたように、“その小学校の出身者”である場合ですね。
また、附属幼稚園から進学している方も同様です。
加えて、縁故としては弱いですが、附属の中高大学出身の場合も書いた方が良いと思います。
まとめると、その小学校に関連している附属校も含めて、“卒業生”である場合には、それをきちんと書いた方が良いでしょう。
もう一つ、学歴を積極的に書かれるパターンとして挙げられるのが、「非常に優秀な大学を卒業しているケース」ですね。
たとえば、東京大学をはじめ、一橋大学や東京工業大学などの有名国立大学、または海外の著名な大学を卒業している場合には、その学歴をアピールする意図で、願書に記入するご家庭が多く見られます。
一方で、たとえば「中卒・高卒」「専門学校卒」、あるいは「志望校とはまったく関係のない大学を卒業している」場合に書くべきかどうかというと、正直ご家庭によるところが大きいです。
実際に、そうした学歴であっても、それを願書に書いてご縁をいただいたご家庭もありますし、
そういった情報はあえて書かずにご縁をいただいたご家庭もあります。
ですので、ここについては「あくまでもご家庭の判断」になります。
「中卒だけれども、それも含めてすべてを伝えた上で判断してもらいたい」と思って書かれる方もいらっしゃいますし、「マイナスになりうる要素は書きたくない」と思って、あえて記入を避けるご家庭もあります。
ですので、ここに関しては「最後はご家庭が決めること」なんですね。
繰り返しになりますが、「有名大学を出ている」あるいは「志望校やその附属校を卒業している」場合には記載する方が多いですし、そういった場合は書いた方が良いと思います。
ですが、それ以外のケースについては、「書いても書かなくても構わない」というのが、現実的な結論です。
そもそも、ここまでお伝えしてきたように、特別な場合を除いて親の学歴が重要かと言われると、実際は「そこまで重要ではない」んですよね。
なぜなら、最初にもお伝えしたように、小学校受験において一番大切なのは「子どもの実力」だからです。
それが合格ラインのボーダーに届いていなければ、卒業生でもどんなに立派な学歴をお持ちの親御さんであっても基本的に関係ありません。
実際、卒業生以外のご家庭であっても、実ご縁をいただいているケースは多くあります。
つまり、しっかり対策をしていれば、十分にご縁をいただける可能性はあるということです。
ただし、学校によっては、卒業生の割合が非常に高くなっていて、いわゆる「フリー(=縁故のないご家庭)」が合格する枠が非常に少ないというような学校も実際にあります。

そのような学校を受験されるご家庭の中には、「親の学歴による影響が大きい」と感じてしまう方も多いです。
今回は、小学校受験をするうえで知っておいてほしい「親の学歴の影響」について、私のこれまでのサポート経験や実際にご縁をいただいたご家庭のケースを踏まえて、詳しく解説してきました。
親の学歴は、小学校受験に直接的な影響を与える場合もあれば、間接的な影響を与える場合もあります。
ですが、それを正しく理解しておけば、対策次第でカバーすることができます。
また、繰り返しになりますが、小学校受験で一番重要視されるのは「子どもの実力」です。
そのため、親の学歴や縁故に惑わされず、毎日の受験対策を着実に積み上げていくことを大事にしてくださいね。
今回のお話を踏まえたうえで、小学校受験や受験対策について個別で相談したいという方がいらっしゃったら、個別面談も随時受け付けておりますので、お気軽にご相談くださいね。

毎月のプロによる個別面談をご希望の方、お子さん1人でペーパーや制作や巧緻性対策できるオンライン学習環境を求めている方は、ぜひ私が運営する小学校受験コミュニティ「MAGONOTE」もチェックしてみてくださいね!
