東京農業大学稲花小学校の願書の書き方とコツ【願書添削のプロが解説】
こんにちは、小学校受験の現役講師兼コーチのかける先生です。
今回は東京農業大学稲花小学校の願書の書き方やコツについて、願書添削の経験を踏まえて詳しく解説していきますね!
世田谷区に位置する東京農業大学稲花小学校は、体験を重視する学びや充実した英語教育を特徴とし、私立小学校の中でトップの人気を誇っています。
また、例年願書も他の私立小学校と違って記入項目が多く、頭を悩ます保護者の方も多く見られます。
しかし、2025年3月31日をもって夏秋啓子校長先生の任期が満了し、新しく杉原たまえ先生が校長に就任したこともあり、2026年度入試からは大きく願書の記入内容も変わりました。
日々さまざまな私立小学校の願書添削をさせていただいている立場からすると、例年よりも比較的オーソドックスな設問内容となり、2026年度入試の願書は例年に比べて書きやすかった印象を受けました。
しかし、シンプルな設問になったからこそ、注意しなければならないポイントもあります。
そのような変更点も踏まえて、「東京農業大学稲花小学校」の願書の書き方やコツについて、願書添削のプロの視点から詳しく解説していきたいと思います。
10,000字超のボリューミーな内容になっているので、横浜初等部を受験する方は必ずブックマークをして何度も見返せるようにしておきましょう!
まずは、稲花小学校の出願の流れを簡単にご紹介します。
1.「事前⾯接⽤質問票」の作成
学校HPの⼊学試験ページから記⼊⽤紙フォーマットをダウンロードして作成します。
こちらが願書に該当します。
2.志願者写真撮影
出願には、写真の画像データが必要となります。
プリントした写真は不要です。
3.出願サイトを開く
インターネットに接続されたパソコン、スマートフォン、タブレット端末等を使⽤し、学校HP の⼊学試験ページのリンクから出願サイト「miraicompass」を開きます。
4.ID の登録
ID(メールアドレスとパスワード)を登録します。
5.写真の登録
6.検定料の⽀払い
7.「事前⾯接⽤質問票」の郵送
作成した「事前⾯接⽤質問票」と、マイページから出⼒した「申込内容確認書」をホチキスで留めて封筒に⼊れ、簡易書留で送付します。
8.受験票出⼒
9.受験⽇時確認
10.事前⾯接(オンライン)
11.⼊学試験
まずは上記の出願の流れをしっかりと把握しておきましょう。
また、稲花小学校の願書の記入内容は以下の通りです。


稲花小の願書のフォーマットは、入力用(Word)と手書き用(PDF)の2種類が用意されています。
稲花小学校の願書のお題は、2025年度入試まで以下のように複数のお題が出されていました。
1)志願者の兄弟姉妹構成について、記入してください。
2)本校の教育方針「3つの心と2つの力」の1つである、継続する「向上心」を養うために、子
育てにおいて取り組んでいることを、120字以内で記入してください。
3)志願者に、交通機関を始めとする公共の場にふさわしいマナーを身に付けさせるために取り
組んでいることを、120字以内で記入してください。
4)保護者の職業観について、120字以内で記入してください(所属や役職などは必須ではあり
ません)。職業人としてどのような使命感を持っていますか。
5)本校を知ったきっかけや受験を決意した理由など、志望の動機について、120字以内で記入
してください。
6)志願者が社会人になる頃、社会で活躍するためには、認知能力と非認知能力をバランスよく身に付けていることが求められると予想されます。それを踏まえ志願者をどのように育てていきたいと考えますか。1,000字以内で記入してください。
しかし、稲花小学校は2026年度入試から、以下のようにお題が整理され、2つの形にまとめられました。
1)志願者の兄弟姉妹構成について、記⼊してください。
2)本校を知ったきっかけや受験を決意した理由など、志望の動機について、400字(20字×20⾏)以内で記⼊してください。
3)志願者の⻑所と短所を踏まえ、ご家庭の教育⽅針について、400字(20字×20⾏)以内で記⼊してください。
このように記入欄の形式が変更されたのにはさまざまな理由が考えられますが、最初にもお伝えしたように、校長先生が代わったことも大きな要因と言えるでしょう。
2025年度までのフォーマットで下書きを作成していた保護者の中には拍子抜けされた方も多かったと思いますが、2026年度の願書も決して簡単というわけではありません。
私も稲花小を受験する複数のご家庭の願書を添削させていただきましたが、設問の意図や要件を満たせていない方が多く見られました。
そのような添削経験を踏まえて、2)と3)の文章を考える際のポイントや注意点について解説していきたいと思います。
どんな内容や構成で書くか考えながら、読み進めてくださいね!
2026年度入試の願書の1つ目のお題は、以下の通りです。
2)本校を知ったきっかけや受験を決意した理由など、志望の動機について、400字(20字×20⾏)以内で記⼊してください。
こちらのお題で求められているのは、一言でまとめる「稲花への熱意」です。
しかし、設問をよく読んでいただければわかるように、いくつか要件があります。
1つ目は「本校を知ったきっかけ」です。
まずは、稲花小学校をどのようにして知ったのか、その経緯を伝えるようにしましょう。
HPを通して知った方もいれば、身近に在校生や卒業生がいる方、説明会などで興味を持った方など、きっかけはさまざまだと思いますので、ご自身がどのようにして知ったのかまとめておきましょう。
そして、次に大事なのは「受験を決意した理由」です。
もし稲花に入学できたら、小学校6年間はもちろん、中高まで過ごすことになる可能性が高いです。
そのため、学校側は稲花小学校の教育理念や指導方針をきちんと理解し、共感してくれているご家庭に入学してもらいたいと思っています。
ですので、稲花の理念や方針と家庭の教育方針が一致している点などを踏まえながら、しっかりアピールすることが必要です。
また、それだけでは少し志望理由として弱いため、学校説明会での先生方のお話や実際に肌で感じた校風などについても志望理由に盛り込むことがポイントです。
以上の2つの要件を意識して、稲花小を知った経緯から志望に至った理由までしっかりと言語化することができれば、自然と熱意に溢れた志望理由になります。
2)では主に志望理由を問われていますが、添削をしていると、家庭の教育方針から書き始める方がよく見られます。
それだと3)の内容と重複しているような印象を与えやすいため、2)では家庭の教育方針に字数を割きすぎないこともポイントです。
2026年度入試の願書の2つ目のお題は、以下の通りです。
3)志願者の⻑所と短所を踏まえ、ご家庭の教育⽅針について、400字(20字×20⾏)以内で記⼊してください。
この設問でアピールするべきは、ご自身のお子様やご家庭の特色についてです。
この設問でも主に2つの要件があります。
1つ目は「志願者の長所と短所」、そして、2つ目は「ご家庭の教育方針」です。
そのため、まずはお子様の長所や短所を述べたうえで、それを踏まえてご家庭で大切にしていることを伝えるようにしましょう。
ちなみに、実際に添削していると、お子様の長所に関してはきちんと書かれているのですが、短所について触れられていないケースが多々見られます。
親御様としては、「あまりマイナスの側面を見せたくない」というお考えがあるかもしれませんが、学校側は親御様がお子様のどんな点を短所と感じ、それに対してどのように向き合っているかを知りたいと思っています。
また、基本的に長所と短所は表裏一体になっていることが多く、短所がひとつもないお子様はいないので、何も触れない方が不自然です。
ですので、長所だけでなく、短所についてもしっかりと記述するようにしましょう。
そして、その内容を踏まえて家庭でお子様と接するうえで大切にしていることを展開することで、この設問の要件を自然に満たせると思います。
また、願書で重要と言われるエピソードに関しては、家庭の教育方針のパートで具体的に実践していることなどを盛り込めると、文章全体としての一貫性を保つことができ、かつ、読み手があなたのご家庭像をイメージしやすくなります。
そのため、上記のような構成を意識して文章を考えてみてくださいね!
2)と3)を別々の問いとして捉えると志望理由と家庭の教育方針に矛盾が生じやすくなります。
そのため、項目が分けられているだけで、2)と3)を通しで読んだときにしっかりと一貫性を保つことができているかも最後に確認するようにしましょう!
稲花小学校の願書を書く際には、いくつか押さえておくべきポイントがあります。
そこで以下では、稲花小の願書を考えるうえで知っておくべきことやポイント、注意点などについて、今までの添削経験も踏まえて解説していきます。
稲花小学校の願書をこれから書く方は、復習としてもぜひ参考にしてくださいね。

稲花小学校と言えば、「体験学習」「稲花タイム」というキーワードを思い浮かべる方も多いと思います。
実際、願書添削をしていると、家庭の教育方針と絡めて、稲花小の体験型学習への魅力をアピールしている方も多く見られます。
このように、体験型学習は稲花小学校の大きな特長の一つです。
稲花小学校では、「稲花タイム」という時間を設けており、多種多様な体験や各分野の専門家からの直接のご指導を通して、座学では決して学べない知恵や経験を大切にしています。
また、ただ単に体験行事を羅列するだけでなく、1年生では「田んぼ活動」を行い、2年生では「水田の生き物観察」を行うなど、“連続性のある学び”を設計しているのも魅力のひとです。
さらに稲花では、体験学習を”体験だけ”で終わらせずに、その場で見たことや聞いたことをもとに、自分が気になった点を中心にまとめ、感じたことを言葉にして記録する活動を行うことで、自分の考えを整理して表現する力を養うことも大切にしています、
もしご家庭でも体験を大切にしているのであれば、その点と絡めて稲花の体験型学習への魅力をアピールするの選択肢のひとつでしょう。
体験型学習は、稲花小が掲げる「冒険心の育成」を支える大きな柱の1本でもあるため、そういった点への共感を示すこともできます。

稲花小学校は、「冒険心の育成」を掲げていることから、願書では「知的好奇心」や「探究心」というキーワードを盛り込む方が非常に多いです。
たしかに、これらの力は稲花小が大切にしている能力のひとつです。
しかし、それ以外にも稲花小学校が特に重視している力があります。
それは、一言で言えば「コミュニケーション能力」です。
もう少し分解して表現すると、「傾聴力」や「共感力」、「協調性」「表現力」などを意味します。
稲花小学校の夏秋啓子元校長先生と杉原たまえ校長先生は、どちらの先生も研究者としてのご経歴をお持ちです。
研究では、大規模な調査や膨大なデータの分析など、一人だけでは進められない場面が多くあります。
だからこそ、お二人は「何かを成し遂げるには、周りと力を合わせることが大切だ」ということをよくご存じです。
そうしたご経験があるからこそ、先ほどお伝えした「共感力」や「協調性」といった力を特に大切にされているのだと思います。
ちなみに、稲花小の試験ではペーパーと行動観察を大きな2本柱としており、行動観察ではこういったコミュニケーションを能力を総合的にチェックしていると言われています。
以上の理由から、願書の中で、お子様の性格について触れつつ、普段ご家庭の中でどのようなコミュニケーション能力を育んでいるかをアピールするのも大切です。

稲花小学校では、食や農とつながる学びの一つとして、給食を通じた食育に力を入れています。
校内にはガラス越しに調理の様子が見える大きな給食室があり、子どもたちは「食」がどのように作られるのかを日常的に感じ取ることができます。
また、給食の時間は、単に食事をするだけではなく、「食を知る学びの場」として位置づけられています。
たとえば、使用する食材の種類を広げて味や食感の違いを体験したり、魚料理や煮物など多様な調理法に触れたり、節分やひな祭りの行事食、世界の料理を取り入れたりと、献立そのものが学びにつながる工夫がされています。
もし家庭菜園に取り組んでいたり、日々の食事にこだわっている場合は、願書の中で、稲花の食育と絡めてアピールするのも選択のひとつだと思います。

稲花小学校は2019年に開校した学校で、2025年4月に初めての卒業生が中学校へ進学し、71名のうち、61名が東京農業大学第一高等学校中等部へ内部進学されたようです。
このように、稲花小は、他の伝統校と比べるとまだ歴史は浅いですが、新設校ならではの強みを生かして、行事や学習プログラムについても、毎年の子どもたちの姿を踏まえながら改良を重ね、より良い形を模索し続けています。
それに伴って、学校側が大事にしているのは、こうした変化を前向きに受け止め、学校と一緒に歩んでいこうとする保護者の姿勢です。
学校の考えや取り組みを理解し、日々の教育活動に協力しながら、より良い学校づくりに寄り添ってくださるご家庭を求めていると考えられます。
また、稲花小学校のように、子どもの体験と探究を中心に据えた学校では、特に学校と家庭間の連携がより重要になります。
なぜなら、家庭でも子どもの興味や気づきを丁寧に受け止め、学校の学びにつながるような声かけや活動を続けていくことで、より豊かな成長を後押しできるからです。
そのため、願書の中で、保護者としての協力的で柔軟な姿勢があることも間接的にアピールできるとさらに良い願書に仕上がると思います。
かけるの願書作成・添削講座

今回は、稲花小学校の願書の書き方やポイント、注意点などについて、詳しく解説してきました。
稲花小の願書は、最初にもお伝えしたように、2026年度入試から大きく記入項目が変更されました。
設問自体はそこまで難度が高いものではありませんが、稲花の特徴や家庭の教育方針を的確に盛り込みながら、熱意をアピールする必要があります。
また、ここまでを読んだうえで、
「自分1人で願書を書き上げられる自信がない…」
「願書作成をサポートしてほしい」
「自分の下書きに自信を持てないから添削を受けたい」
というような不安やお悩みを抱えている方も多いと思います。
そのお気持ち、とてもわかります。
それに、願書の作成手順や書き方がわかっていても、育児やお仕事で忙しかったり、文章力に自信がないと、自分1人で取り組むのは難しいですよね。
そのような方は、私の「願書作成・添削講座」もご検討ください。
私が伴走者として願書作成をサポートいたします。
私の願書作成・添削講座では、自己分析のお手伝いから文章の書き方、添削まで手厚くサポートさせていただいております。
また、ご家庭のニーズに合わせて3つのプランをご用意しているため、ご自身のスタイルやご要望に合ったサービスを選ぶことができるのも魅力のひとつです。
お一人で願書を書く自信がない方、早めに願書の準備を始めたい方は、以下のボタンから私の願書作成・添削講座の詳細もチェックしてみてくださいね!
過去の添削例などを確認したい方は以下のページに載せているので、ぜひ確認してみてくださいね!
今回は稲花小学校の願書の書き方やポイント、注意点などについて、稲花小の特徴も踏まえて詳しく解説してきました。
稲花小学校の願書を書き上げるためには、「体験型学習」や「食育」などの特色、学校側が求める生徒像・保護者増を理解したうえで文章に盛り込む要素を厳選する必要があります。
そのためには、今回解説してきた内容も踏まえて、稲花小学校の学校研究を丁寧に行いながら、家庭の教育方針や日々の過ごし方も見直す必要があります。
稲花小学校を受験される方は、ぜひ今回の内容を参考に準備を進めてくださいね!
具体的に何から始めればいいかわからない方は、以下の記事や私の願書作成添削講座も参考にしてくださいね。

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